小説家を志したほぼすべての人たちが、書いている途中で挫折してやめてしまったり、いざ書き始めても、早々に書き出しで躓いた経験があるのではないでしょうか。
中には、「家事・育児・仕事で忙しくて、書く時間なんてない」とか「何か書きたいけど、ストーリーが思い浮かばない」という主婦の方も多くいると思います。
私が初めて小説を書き始めたときも、まったく同じ状況でした。
小説を書き始める前は物語を最後まで作りあげる自信がなく、実際に一作品目を完成させるのに約半年かかりました。
しかし、途中で挫折しそうになりながらも最後まで作品を書きあげられたのは、実は『ある仕掛け』を作っていたからなんです。
今回は、小説家になるための第一歩として、作品を書きあげる方法や仕掛けについてご紹介していきます。
目次
小説を書きあげられない人へ|書き始める前に『3つの準備』をしよう
途中で挫折せず、小説を書きあげるために、書き始める前に『3つの準備』をしておくことをオススメします。
これらの3つの準備をせずに、勢いだけで書き始めてしまうと、途中で手が止まってしまう可能性が非常に高いと思います。
- 伝えたいことを一つに絞る
- 登場人物を決めておく
- レビュー・書評をもらう

それぞれについて、項目ごとに『なぜ必要なのか』を詳しく説明していきます。
1.伝えたいことを一つにしぼる

なぜなら、小説家を志望する多くの人は、「内側から湧いてくる感情や価値観を表現して形に残したい」という思いが強く、表現したいことがたくさんありすぎるがために、書いている途中で内容が脱線してしまい、手が止まってしまうからです。
しかし、一番に表現したいことを明確にしておけば、話が脱線することはありません。
さらに不思議なことですが、私は優先順位を決めた結果、『2番目以降に表現したかったアイデア』も、書いていくうちに一番良いタイミングで、物語の中でうまく表現できるという経験を何度もしました。
だから、表現したいことのすべては、最終的には物語の随所に散りばめられると信じて、まずはその中で、『何を一番に伝えたいのか?』を決めることが重要です。
一番目のアイデアを大切にすることで、話が脱線することなく、スムーズに作品を完成できるのです。
2.主要な登場人物を少数に絞って設定する
小説を書くときは、登場人物に感情移入して、その感情をいかに表現できるかが重要です。
そのため、初めて小説を書くときは、『物語に登場する主要な人物は最高でも3名にしぼる』ことをオススメします。
なぜなら、登場人物があまりにも多すぎると、感情移入すべき対象が多くなりすぎて、表現することに大きな労力を伴うからです。
例えば、人にはいろいろな顔があると思いますが、価値観の合わない人に共感したり、自分が初めて聞く考えに初めから共感するのは難しいことですよね。
つまり、人に共感(感情移入)することは、それだけ苦労を伴うものなのです。
また、読者にとっても、人数が多すぎると、どの登場人物に感情移入して読み進めればよいかわからなくなってしまいます。
だからこそ、『物語で感情移入する主要な人物は最高でも3名にしぼる』という事が重要です。
3.書きながらコメント&レビューをもらえるよう頼んでおく
私が半年間かけて1つの小説を書きあげられた最大の要因は、『一小節を書くごとに妹からレビューをもらっていた』からです。
書いた内容についてレビューをもらえることには、2つの大きなメリットがあります。
- 意図せず自分の本音に反して書いた文章に気づくことができる
- レビューをもらうことが、作品を書く習慣につながり継続力が増す
レビューをもらうと聞くと『添削をしてもらう』ようなイメージをする人もいるかもしれませんが、目的はそうではありません。
定期的に書いた文章を読んでもらっていると、読んでくれた人が「何かいつもの文章と違う」ということを直感的に感じ取り、それをフィードバックしてくれるのです。
なぜ、フィードバックをもらうことが重要かというと、私たちは『良い文章』とか『きれいな文章』を書こうとすると、気づかないうちに自分の本音に嘘をついた文章を書いてしまうことがあるからです。
そうなると『書きたいことを書いている』のではなく、『周囲の期待に答えるような文章を書いている』状態なので、途中で違和感を感じて、手が止まり、挫折してしまうのです。
また、書いたらレビューをもらうということを習慣づけることで、『書き続ける継続力』が高まります。
中には、「自分の書いた作品を人に読んでもらうなんて、恥ずかしくてお願いしづらい」と感じる人も多いと思います。
私の場合は、頼んだ相手が実の妹だったのですが、それでも初めて作品を読んでもらったときは、どんな反応が返ってくるかすごくドキドキしましたし、辛口な意見をもらって落ち込むこともありました。
しかし、自分の文章を客観的に捉えられるようになったのは、彼女がくれるさまざまなレビューのおかげだと、今でも私は妹に感謝しています。
小説のレビューをしてもらう人の選び方
作品を読んでもらうことのメリットをお伝えしましたが、レビュー(書評)をどんな人にお願いすればよいかにもポイントがあります。
- そこそこ読書が好きな人
- あなたの夢を応援してくれる人
- あなたと信頼関係がある人

1.そこそこ読書が好きな人を選ぶ(読書が大好きな人は避ける)
「レビューをしてもらう」と聞くと、本に詳しい専門家にアドバイスをもらった方が良いと思えるかもしれませんが、文章の専門家や、読書が大好きで文章表現にこだわりの強い人をレビュアー(書評してくれる人)に選んではいけません。
なぜなら、読むことに関して強いこだわりを持つ人や文章の専門家は、何かと自分の考えを押し付けたアドバイスをしたがるからです。
小説を書き始めたころの私には、SNSで繋がりのある、出版社で働く昔からの知人がいたのですが、私が小説家を目指しているのを知ってか、突然、メッセージで「もっとこういう文章にして投稿をした方がいいよ」とか「こうすればフォロワーが増えるよ!」といったアドバイスをやたらにしてくるようになりました。
もちろん親切心でアドバイスしてくれているのは分かるのですが、自分の文章を否定された気がして、投稿するにも抵抗感を持つようになり、書くことに対して自信がなくなってしまったことがあります。

小説家として大切なことは、あなただからこそ表現することができる文章を書くことですよ^^
つまり、自分の文章の強みや個性が磨かれる前に、それが否定されてしまう環境に身をおくということは、あなたの個性をなくしてしまうことに繋がるので、大変危険なことなのです。
しかしだからといって、読書に興味がなく、本をほとんど読まない人は、レビュアーとしてもちろん不適格です。
私の場合は初め、いちばん身近にいる存在ということで、夫にレビュアーの役目を託しましたが、彼は読書が嫌いなため、レビューを求めることがお互いの負担になってしまい続きませんでした。
そこで妹にお願いすることになったのですが、彼女はそこそこの読書好きであったため、私の願いを快諾してくれ、簡潔かつ読者目線で、さまざまなコメントをしてくれました。
読書が大好きでこだわりの強い人に頼むと、あなたの作品に対して、プロの編集者のようなコメントで批判してくるので、あなたの個性を損なう恐れがある!
2.あなたの夢を応援してくれる人を選ぶ
2つ目のポイントは、あなたの夢を応援してくれる人を選ぶことです。
そこそこ読書好きな人はたくさんいますが、『あなたの夢を応援してくれない人』にレビューをお願いすることはできません。
具体的には、いきなりレビューをお願いするのではなく、あなたの周りにいる人に「本を書いて出版してみたいんだ」という話をしてみてください。
このとき、「凄いじゃん!」とか「面白そう!」などあなたの夢を前向きに応援してくれる人なら、安心して依頼することができます。
もちろん、レビューを依頼するということは、相手に時間を割いてもらって夢を応援してもらうことなので、相手の負担が最小限になるように気を配って依頼しなくてはなりません。
3.あなたと信頼関係のある人
3点目は、あなたと信頼関係(親密性)があることです。
信頼関係があるというのは、ただ仲が良いというレベルではなく、あなたの価値観や感性を理解してくれる人で、その人から何かアドバイスや指摘を受けて、あなたが素直にそれを聞き入れることが出来る人のことです。
なにか意に沿わないことを言われて、その意見にあなたが遠慮したり、またはあなたに怒りの感情が生まれては、やはりあなたに適しているとはいえません。
また、まったく知らない人の方がかえって客観的なアドバイスを受けられると考える人もいますが、多くの場合は「面白かった」とか「次が楽しみ」といった表面的な感想しか返ってきません。
私は執筆に煮詰まったときに、妹にレビューを依頼していたのですが、私の感性や強みを理解してくれているので、彼女は『本当に私が表現したいこと』を気づかせてくれるフィードバックを授けてくれました。
小説のレビューの依頼方法
いざレビューを依頼しようと思っても、「どのようなことを依頼したらよいのかわからない」と言う人も多くいます。
そこで今回は、私が妹にレビューを依頼していたときに意識したポイントを、3つご紹介します。
- 煮詰まったときに見せる(すべてを見せない)
- 期限を提示して依頼する
- レビューをもらうまでは余計な説明をしない
まず1つ目の『煮詰まったときに見せる』という点ですが、レビューを依頼するといっても、すべての部分を読んでもらう必要はないということです。
すべてを読んでもらうのはレビュアーの負担も大きくなりますし、私の場合はあくまでも『小説を完成させる』ことが目的だったので、自分自身で納得して書けたと思うときはいちいちレビューをもらいませんでした。
しかし、「書いてはみたけど、何かこれでいいのかな?」といった違和感がある部分については、積極的にレビューを依頼しました。
【依頼文・頼み方の例】
小説を書き始めて煮詰まってしまったんだけど、どう思うか素直なところを教えてもらえませんか?
次に2つ目の『期限を提示して依頼する』ですが、レビューを依頼する時点で「いついつまでにお願いできる?」と伺いを立てると良いです。
期限を決めておかないと後回しになってしまいますし、相手の都合もあるので「いつまでに読んでもらえるか?」という認識はきちんと合わせておいた方が、相手の負担を軽減させられるだけでなく、自分自身も返事を待っている間にソワソワしなくて済みます。
いつくくるかわからない連絡を待っているのは、精神的にも辛いですからね。
また、あまりまとめて依頼すると相手の負担になってしまうので、少なめのページ数で依頼する方が良いと思います。
ちなみに私は、レビューが返ってくる間も手を休めるのではなく、物語の続きを執筆していました。
なので、続きを書いているうちに、読んでもらっている内容を変更したくなることも当然ありましたが、大概そのようなときは、相手からも「状況が伝わってこない」と、同じような指摘が返ってくるケースがよくありました。
息の会ったレビュアーを見つけられて本当によかったと思いますし、連絡をただ待っているだけでは、せっかくの執筆時間がムダになってしまいますよ。
【依頼文・頼み方の例】
○日までにお願いすることは可能でしょうか?
最後に3つ目の『レビューをもらうまでは余計な説明をしない』ですが、「こういう趣旨の物語を書いているんだけど」など、説明を加えて依頼しないように注意してください。
余計な解説や情報を与えてから読んでもらうことは、例えるなら『読者の隣であなたが物語の解説をしながら読んでもらうようなこと』だからです。
余計な解説をすることは、作品の中身を言葉で説明することにも繋がり、作品が文章だけで成り立つものではなくなってしまうということです。
私の作品は、『猫がしゃべる』という設定だったのですが、相手に余計な説明をしなかったおかげで、「これは誰のセリフか分からなかった」とか「漢字が多くて読みづらい」とか「ここは臨場感が伝わってこない」といった率直な意見をもらうことができたため、すぐに訂正することが可能でした。
レビューを依頼するときは、物語の説明をしない。
最後に
今回は、小説を書きあげられない人へ向けて、書き始める前に『3つの準備』をしようというテーマで小説を完成させるコツを解説しました。
初めから面白いストーリーや魅力的な文章を書ける人はいないですし、どんな著名な作家も、初めはみんな初心者でした。
だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、まずは書き初めてみることが大切だと思います。
ぜひこの記事を参考にして、作品を作りあげてくださいね。
29歳の子持ち主婦です。
物語を作れるようになりたいと思って書き始めてもなかなか思うように進まず悩んでいたところ、こちらの記事に辿り着きました。
ポイントを絞る、レビューをもらうようにする、とても参考になりました。早速実践してみます。
主婦から未経験で書籍出版とのこと、とても希望をもらいました!ありがとうございます!これからも頑張ってください^ ^